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『猪突盲進』-原田燎太郎

World as One Family by Work Camp

ワーク完成

いつも座り込んでいる村の兄ちゃんと中庭のテーブルでジュースのふたを転がして遊んだ。回転をかけて返ってくるように指ではじいて彼のほうに転がすと、彼は投げてよこす。楽しそう。ただ投げて返すだけなのに。誰かと何かをやってるという感覚が楽しいんだろうか。どうも話すこともできないようだ。名前を聞いたけど微笑み返すだけだった。台所のばあちゃんの孫と筆談し始めたらいつの間にかおれの隣にまわってきてた。I wanna water to drinkがわからず、ブロンディーナに聞きにいってる間に彼はいなくなってた。 きよ子さんと話す。 きよ子さんは20年以上越しで、「いいのかな」と思いながらボランティアをしてる。差別の気持ちはまだ消えない。パーティーのあまりもののお菓子を袋につめて渡しているとき、ふと「私は施しをしているのでは。おごりでは」と思ったそうだ。でも、それを受け取るおばあちゃんのうれしそうな顔を見て、「ああ、喜んでもらってるんだからいいや」と思ったそうだ。おれも、村を離れるときに泣いている村人、「明年再来」を繰り返す村人を見てこれでいいんだと思った。そういえばフィリピンでも、みんな泣いてくれたよな。それでいいんだと思う。 夕食のときにショックなことを聴いた。村にはいじめがあるそうだ。いじめられている人は一年ほど前に電気を切られてしまっているらしい。いじめはもう10年続いているとか。サンミンさんは電気を引こうと、すでに導線も買って来たらしい。でも村長さんは電気を引くことに否定的だとか。老朽化していて漏電すると危険だからというのが表向きの理由だが、実際は政府の役人の顔色をうかがってるのかもしれない。 いじめられている村人は村に籍がないため、政府から生活費を得ることができず、HANDAから多めにお金をもらい、そのお金でマージャンをしているとか。どちら側にも問題がある。村の問題にどこまで首を突っ込んでいいのか。 平和に暮らしていると思ったが、そうでもないらしい。きよ子さんによると重症な人への軽症な人の接し方にも差別意識が見て取れるとか。たまたまハンセン病だったというだけで、身体・知能障害もあればいやなやつもいるようだ。 セメントを床に敷き、タイルを張りつめた。はじめ、水をあまりセメントに混ぜない手抜き工事で早く作業を終わらせようとしたがうまくいかず、途中まではった後、水を混ぜなおした。韓国のおっちゃんがそれまでは張っていたが、怒り出した。「イルボン、イルボン」言ってた。日本人は働かないといっているようだった。働かないやつは出て行けともいった。そのくせ自分も帰っていった。 そもそも、水分のないセメントを敷き始めたとききよ子さんがサンミンさんに抗議してたのを彼が聞かなかったのが問題。彼はやさしそうに見える。でもソンドの話や日本人と韓国人への態度の違いからは少々不信感を抱く。 シャワー室にタイルを張るワークは、夜中1時まで続いた。今回のキャンプで初めて「仕事した!」という感じ。その後のバーベQビールがうまかった。ドンヨルと「チングワイガァ」(私たちは友達)でカンパイした。西尾さんは「ビンボウでもええやないか」という考えで、ピロさんは理想主義だとか。ピロさんは理想にいたるまでの現実を嫌いすぎるため、うまくいかないらしい。「結局、世の中カネだ」って言ったら、「ピロと同じことを言う」と西尾さんに言われた。西尾さんのリーダー論は「リーダーは仕事せんでも理想を語れ。そうすれば次の世代が育つ」。だそうだ。西尾さんの成功像は、柳川さんのようにキャンプをしつづけることだそうだ。