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『猪突盲進』-原田燎太郎

World as One Family by Work Camp

再見☆日本

ついにこの日がきた。中国へ旅立つ。ただ、いくつか不安要素がある。

不安①「本当に学生団体はできるのか?」

10時30分。携帯電話を解約する。日本の友人たちと切り離された気がする。

11時10分。関西国際空港に向かうリムジンバスに乗り込む。見送りに来てくれた友人は眼を真っ赤にしてくれる。バスの窓越しに見えるその姿。

(これから中国に行くんだ…)。

中国に1年間滞在することを、その重さを実感した。

その前の晩。

「青い」。

ある人はそうFIWC関東の計画を斬った。FIWC関東の計画― つまり、リンホウを支援する学生団体を設立すること、その参加者に村人とその生活を五感で感じてもらうこと、そこでの想いを大切にしてもらうこと、その支援の輪を広げ、ネットワークをつくること。

「あなたみたいな人ばっかりだったらいいんだけどね」。

そう笑うその人はこの計画を応援してくれたが、ハンセン病を取り巻く状況を変えるのは難しいという。

(やっぱり、おれの想いが先走ってるのかな…)。

不安②「重症急性呼吸器症候群SARS)」

13時27分。関西国際空港の搭乗ゲート27番―14時50分発、広州行き―に向かう。

(いた…!)

前から歩いてくるオッサンは物々しいマスクをつけている。

(日本には大袈裟なヒトが多いな…)。

と、次の瞬間。外国人と思われる黒い肌の女の人が同じようなマスクをしている姿を見た。あたりを見回すと、搭乗時間を待つ100人ほどの人々の中に、ごついマスクをしている人が何人かいる。ここは日本であるにも関わらず。

搭乗ゲート周辺に電子音が響く。ピンプンポンパーン…、

「ノースウエスト空港70便デトロイト行きのお客さま、ただ今から18番ゲートよりご搭乗ください」。

ワラワラと人々が立ち上がる。広州行きの飛行機を待ちつづけたのは、4名。静まり返るロビーで物音を立てるのは、掃除のおばちゃんだけだ。

(大丈夫かな…)。

14時を回るとようやく人が増え始めるが、中国人ばかりだ。広東省の友人たちが問題ないと言ったとはいえ、マスコミの報道からすると、不安になる要素はいくらでもある。

(強がらないで、マスク持ってった方がよかったかなぁ…。出発、延期した方がよかったかなぁ…)。

18時30分、広州に降り立った。人々はマスクをつけていない。今回で5度目の広州だが、街は普段と変わらず、にぎやかだ。SARSにかかるのは、宝くじに当たるようなものなのだろう。

(注)「青い」と斬った彼女は現在、とてもとても大切な、いろいろな意味でのサポーターとなってくださっています。