『猪突盲進』-原田燎太郎

World as One Family by Work Camp

潮州人、貴州人、日本人

蘇さんと夕飯を食べ、お茶を飲んでいると、貴州省の女の子が来る。蘇さんは彼女に言う、

「ヨープーヨー『ミー』」。

蘇さんは「要不要『麺』」(『インスタントラーメン』をあげようか)のつもりで尋ねた。しかし、彼女には「要不要『命』」(『命』をあげようか)と聞こえた。私には「要不要『米』」(『米』をあげようか)と聞こえた。笑いながら彼女は言う、

「潮州人、貴州人、日本人はお互いに何を言っているかわからないね」。

蘇さんと私は中国の共通語・普通話を片言しか話さないので、筆談の補助がないと3人の会話は成立しない。中国の広さ・多様性を改めて感じさせられた。

もう1つの「隔離」

出稼ぎ労働―もう1つの「隔離」なのではないか。

ケース①

リンホウには四川・貴州省から働きに来ている人が住んでいる。彼らの生活全般の面倒を見ている四川省のお姉ちゃんの母親が何日か前、病気になった。お母さんは四川省に残っている。姉ちゃんとダンナさんの2人が四川省まで帰るのに1000元(約1万5000円)、お母さんの治療費が900元(1万3500円)だという。給料日前の彼らには払えない額だ。彼らは、親が病気になっても自由に会うことができない。

ケース②

「おれは小学校5年で学校をやめた。学校に戻る日があるか?―ない。5年生のとき、成績は悪くなかった。先生たちも学校に残るように言ってくれた。だが、他に方法がなかったんだ。当時の同級生は今、大学を卒業して働いている。おれは未だに出稼ぎ労働者だ。なんてこった」。

23歳の彼はそう語る。

「出稼ぎ労働者。結構じゃないか!」

蘇さんがそう言うと、賢そうな彼の表情に諦めの気持ちが浮かぶ。

「プーハオ」(よくないよ)。

そう彼はつぶやいた。彼の叔父2人もここ潮州で働いている。

仕事がキツイので、仕事以外のことはほとんどしない。16歳の少年は学校をやめて働いている。電気代を払えないので、ロウソクの生活を送る。「打工」とよばれ、軽んじられている風だ。

最近、1箱6元(90円)のタバコを吸っているのが後ろめたい。ガスを使って料理しているところを見せたくない。パソコンを使うときはドアを閉める。