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『猪突盲進』-原田燎太郎

World as One Family by Work Camp

サンダルづくり

サバサバ

インチンにタバコのフィルタを買って来るよう頼まれていたので、それを持っていく。彼女が以前愛用していた長めのフィルタは詰まってしまい、使えない。フィルタがないとインチンは指が焦げてもタバコを吸いつづける。眼が見えず、手の感覚がないからだ。

「いくらじゃ?」

そう尋ねながらインチンはお金が入った缶をひっくり返す。10数枚折り重ねられた5角札(約8円)が落ちる。フィルタは贈り物なのでお金は要らないと彼女に伝える。

「だめじゃ」。

断るインチンにもう一度同じことを繰り返す。

「そうか。贈り物か。それなら受け取るものじゃな」。

インチンはサバサバした性格だ。自分の気持ちをストレートに伝えてくれ、こちらの気持ちも受け取ってくれる。いいものはいい、ダメなものはダメときちんと言う。

フィルタにタバコを挿し、インチンの口元に持っていくと、彼女はパクリとくわえる。インチンのタバコに火をつけ、2人でゆっくりと煙を吐く。

オカンのサンダル

昨日買ってきたサンダルのかかと部分に、装具を貼り付ける。固めのこの装具は柔らかいスポンジで覆ってある。

「タイホー!」(いいね!)

インインはそう小さく叫ぶ。インインはここリンホウで私のオカン的存在だ。このオカンの一言は嬉しい。

装具は土踏まず部分にもつけたい。が、このサンダルは便所サンダル型なので、これをつけると高さが足りない。指が短くなっているとはいえ、ビーチサンダル型にすべきだったか。

「こっちの(装具)もつけてほしいな…」。

オカンにそう言われては頑張るしかない。思い切って便所サンダルの甲の部分を真っ二つに切る。そして、幅広の黒いゴムで補強し、足が入る高さを確保する。毎日家事に動き回る彼女の使用に耐えられるか心配だが、一応形にはなった。履き心地が悪ければ悪いと、良ければ良いと言うように頼む。

「タイホー」(いいね)。

あとはサンダルが脱げないように、かかと側にゴムを渡せば完成だ。

「愛心天使」以後を担う学生

昨日、リンホウでの活動をする予定の外青隊のリーダーのチャン=ジョンウェン(レオ、♂)と、次期リーダーのチン=シュウビン(ピーター、♂)にメールした。早速反応のメッセージが携帯電話に送られてくる。

「6月8日にリンホウにいくよ。今後のことをその時に話し合おう」。

そう言うのはシュウビン。

「村人に扇風機を買って6月8日にリンホウに行くよ。何かしてほしいことがあったら言ってくれ」。

そう言うのはジョンウェン。「愛心天使」は死んだが、それ以後を担う彼らも頼もしそうだ。