インチン
チァロン、ジエシャンが卒業した。村には何となく無常感が漂う。村長は昨夜、右足の神経痛に苦しんだ。インチンは風邪を引いている。私は何となく気だるい。
インチン(1)
久しぶりに院長が村に来る。そして、インチンが院長に呼びかけるのを初めて聞く、
「院長!タイラン(僚太郎)はここに来てそろそろ2ヶ月になる。パパ、ママは心配してるだろう。タイランは両親にメールするために町まで行かなければいけない。熱いなか自転車をこいでいき、道が見えなくなる夜遅くに帰ってくる。村に早く電話を引いてあげて。そうすれば町に行かなくて済むから」。
インチンが大声で院長に投げかける言葉を彼女のそばに座って聞く。インチンに対し、部屋の外から院長の声だけが聞こえてくる、
「いま電信局に申請中なんです。それまではネットバーで我慢するしかありませんね」。
電話の件は、あきらめている。もうどうでもいい。インチンの声を聞きながら、タバコがいつもよりうまく感じる。
インチン(2)
足を組み、背筋を伸ばし、インチンがベッドに座っている。そろえた両手をひざの上にきちんと置く。ときどきタバコをゆっくりと口に運ぶ。小さな、細い体。穏やかな表情。インチンには高貴なものを感じる。
今日のイタダキモノ
郭さん:ごはん
若深さん、インチン、インイン:あんこの入っていないあんまん、ひき肉をくるんだビーフン、夕ご飯(鴨肉、白菜のコドモの野菜炒め、焼酎)