ハンセン病快復村の介護、統廃合について
ハンセン病快復村の村人(ハンセン病快復者)の高齢化が進んでいる。
介護を必要とする人も多い。
現在は村人同士で介護をし合いながら生活しているケースが多い。
しかし、介護をしている村人が介護を必要とするときはどうするのか。
村の人口も減っている。
ひとりだけになってしまった村というのもある。
村の統廃合を進めるという計画もあったが、実際に統合された村はひとつだけ。
今後、介護と統廃合をどのように進めていくのかについて、政府の役人が民間の声を聴くという会が開かれた。
政府側からは、張国成さん(中国ハンセン病協会会長)と広東省立スーアン医院の院長が参加した。
民間側は、広東省漢達康復協会のマイケル、スーアンハンセン病博物館の黄さん、ロベルト神父の団体、スーアンで聞き書きを行う小蘭、JIAからはグオシエンと僕。
政府曰く、介護には予算がつきにくい。
ハンセン病に限らず、ふつう、誰かが病院に入院するときも、介護士は各自で雇うしかない。
「介護士」といっても、実際のところ、ほんとんど雑用係のようなものだ。
中国には日本で言う「介護」という職業がないようだ。
その「雑用係」的な職業は「護工」と呼ばれる。
政府に仮に予算があったとしても、ハンセン病快復村で「護工」をやりたがる人が少ない。
介護については特によいアイディアがでなかった。
統廃合が進まないのは、村を管轄する政府部門が反対するところに原因がある場合が多い。
村がなくなれば、それを管轄する政府部門にとっては、失業を意味する可能性が高い。
ひとつの村にいくつかの政府部門がかかわっていることもあり、部門間の調整も難しい。
村人の間で意見が割れることも多い。
生活・医療の整った村に引っ越したい村人と、環境は悪くも慣れ親しんだ土地に住み続けたい村人とがいる。
そこで、黄さんが考えたのは、
1.村人の意思で、引越しするかしないかを決められるようにすること
2.村の統廃合という形はとらず、人数の少ない村の政府が、スーアンのような設備の整った村(というか療養所)に村人のお世話を委託するという形をとること
この方法であれば、村人の意思が尊重される上、村人がいなくなってしまう村の政府も職を失うことはない。
民間団体としては、この方法を政府に提案するということになった。