許さんの検査
許さんの検査
今日か明日に来るはずの院長が来ない。許さんの病状についてのマイケルのコメントを一刻も早く伝え、許さんに検査を受けさせて欲しいのだが。ただ、院長は恐らく検査費を出すことに同意しないだろう。そのときは師範学院の学生に頼んで寄付を集めてもらい、許さんが検査を受けられるようにしたい。とにかく、まずは院長に伝えねば。
「老蘇(蘇村長)、もし院長が明日来なかったら、ジエシャンに頼んで院長に電話してもらってもいいですかね」。
「ジエシャンか。彼女は面倒がるんじゃないか。テスト中だろ」。
「あの子はアタマいいから大丈夫ですよ」。
「ヒヒヒ、チァロンと違ってか?」
カンペイちゃんの略歴
村長に続き、カンペイちゃんも略歴を書いてくれた。翻訳が終わり次第掲載する。
「蘇文秀」か「蘇某某」か
夜、村長の部屋。
「彭小姐(ヴィヴィアン)が携帯電話にメッセージをくれましたよ。『略歴をHANDAのニュースレターに載せることに同意して下さってありがとうございます』って」。
「あー、あれは出来が悪いんだ。あれを載せて何の意味があるんだ。おれの名前は出さないでくれ。『康復者』(快復者)とでもしておいてくれ」。
こんな種類の村長の笑顔を見たことがない。身体全体が軽くなっているような喜び様だ。
「何を言ってるんですかー。『苦難不在人間』の著者・林志明さんが評価してくれたんですよ。『康復者』じゃもったいないですよー。『蘇文秀』で行きましょうよ」。
「あー、名前はいらん、いらん。そうだろ」。
「うーん、そうですかね…」。
「とにかく名前を出すのはやめてくれ。あれを載せて何になるんだ」。
村長は、笑いに必要な顔の筋肉をすべて動かしている。
「あれを読んだ学生がハンセン病差別を憎み、リンホウでの活動に加わるかもしれませんよ。まあ、そこまで言うなら『康復者』とするよう彭小姐にいっておきます」。
「…」。
一瞬、淋しそうな表情を見せて村長は言う、
「『蘇某某』くらいならいいぞ。どうだ、それならおまえも同意するか」。
「たくさんの人に過去のプライベートな話を知られたくないんですか、それとも謙遜して言ってるんですか。謙遜なら同意しません」。
村長は心の底から笑って言う、
「勝手にしろ」。
今日のイタダキモノ
松立さん:インゲン
若深さん:もち