介護導入に成功した欧さん
広東省清遠市ヤンカン村の欧さんは、快復村の介護について語る。
現在、ヤンカン村には介護士2名が常駐し、人件費は政府が負担している。
しかし、多くの他の村はそうは行かない。
なぜ、ヤンカンは可能なのか。
まず、ワークキャンプが来たこと。
昨夜の講演でも言っていたが、「夢にも思わなかった」。
外からの学生が村に住み込み、飲み食いを共にするなんて。
学生が定期的、持続的に活動すると、それによって村の知名度が上がる。
すると、地元の社会人ボランティア団体が動く。
「彼らはJIAと違ってメンバーの流動性が高いし、村に泊まらない。ただ、いろんな職業の人がいる。メディア、起業家、医師、弁護士。彼らと次第に仲良くなって行ったんだ」。
いま、欧さんのWechat(中国版ライン)には、約100名の有力な地元人が入っている。
メディアも村のことを報道してくれた。
こうなると、政府も欧さんを無視できなくなる。
ソーラー発電の温水器を入れ、村人は各自部屋で温水が使えるようになった。かつては車椅子の人も、村に1つしかないボイラーから魔法瓶2つにお湯を満たして部屋まで運んでいた。
医療保険にも入れた。
月末には健康診断も無料で受けられる。
「政府はもはや、おれたちをいじめることはできない」。
そう欧さんは笑う。
そして、介護導入となる。
毎年1月の最後の週は「ハンセン病週間」だ。
ふつう、副市長が「慰問」にやってくる。
が、ある年、市長がくることになった。
「この機会は逃せない」。
欧さんは最前列に陣取り、市長に介護の必要性を訴える。
「市長は村に長くて30分しかいない。その短時間で、簡潔に、真剣にニーズを説くんだ」。
いかに市長の心をつかむか、話す表情や言葉遣いにも気を配る。
市長はうんうんと大きくうなずきながら耳を傾ける。
そして、その場で「市長特別プロジェクト」として介護導入の予算をつけてくれた。
市長がくると聞いて、区長や衛生局責任者、衛生局の財務担当者など、手続きに関連する役人は全てそろっていたので、より速く実行に移された。
ある村では、介護導入の予算はついたが、村で介護をしたがる人がいないとか。
しかし、欧さんはそれも大きな問題にならないという。
現在10数名のヤンカン村に2人の介護士がいる。
1人で7-8名の村人をみればよい。
しかも、現時点ではすべての人が介護を必要としているわけではない。
「少なくとも現時点では、結構ラクな仕事だから、やりたい人は多い。近所のおばちゃんと立ち話した時も、『次に空きができたら、私にやらせて』って」。
清遠市で毎月3500元の収入が得られる仕事はなかなかないとか。
キチンと仕事内容と待遇を説明すれば、やりたい人が見つかる。
「ただ、村によって状況は違うぞ。例えば、80人もいる村で介護するなら、かなり大変だろうし、人数ももっと必要だ」。
欧さんのこの経験は、是非、他の村に伝えなければ。
社会人の週末の活動でできないかな…。